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東野幸治 陣内智則 [芸能]

東野幸治が仲間たちの秘話をつづる連載「この素晴らしき世界」。今週のタイトルは「今度こそ幸せに! 陣内智則君」

 サプライズで行われた陣内智則君の結婚パーティーの話の続きです。

 盛り上がる空気の中、会場を凍りつかせたのが、ゲームコーナーでザ ・パンチのパンチ浜崎君がステージに上がった時でした(芸名に忠実な彼は、パンチパーマで派手めなヤンキーファッション。「はいチャース、チャッチャチャース」のギャグでお馴染みの人です。知らないかな? )。

 少しザ・パンチの説明をします。端的に言うと、2008年のM-1グランプリで最下位になってからテレビに出なくなったと言われている漫才コンビです。漫才中にパンチ浜崎君が女の子との妄想を言い、相方のノーパンチ松尾君が「も~お願いだから死んで~」というツッコミがお決まりのコンビ、とも説明できます。

 でもこのツッコミが最近のテレビではふさわしくないそうで、「死んで~」は言えなくなってしまいました。言ってもオンエアしてくれません。仕方がないので違うフレーズでツッコみます。

 例えば「お願いだから、じゃが芋の芽を食べて~」「サウナで金縛りにあって~」。当然のことながら、「死んで~」のインパクトには勝てません。

 話をゲームコーナーに戻します。古今東西ゲームで「フジテレビのアナウンサーを5人言ってください」というお題をふられたパンチ浜崎君は「えー! フジテレビのアナウンサー!?」と、しばし沈黙。ボケのための沈黙でないことは、誰の目にも明らかでした。私は「頑張れパンチ! 会場には大勢のフジテレビアナウンサーがいる、正解しなければエライことになるぞ!」と心の中でエールを送っていました。

 司会の人が「たくさん来てるから簡単でしょ!」と促すと、「え~っと~……カトパン!」と真顔で答える浜崎君。

「……辞めました!」

 静まり返る会場に、

「え~っと。すいません。マジで出てこないです! 今のフジテレビですよね」

 会場は再び静まり返ります。未央さんが機転を利かせて近くのマイクを持ち、「ちょっと! 私もフジテレビのアナウンサーですよ!」とツッコみながら救いの手を入れると、

「あっ! 未央さん! それと、山碕さんも!」

「正解! あと3人!」

 会場の雰囲気が少しだけゆるんだものの、

「え~っ、もう出てこないです、すいません!」

 と、再び沈黙する浜崎君。未央さんの横に座る陣内君の右足が揺れています。

「男性アナウンサーでもいいんですよ!」

「ますます分からないです……あっ! いた!」

 この声の張り方はボケるなと、会場にいる芸人数名が息を呑んだところ……、

「安藤優子さん」

 芸人のパンチ浜崎君。意を決して、最後は撃沈覚悟で果敢に、特攻隊の精神よろしく半ばヤケクソで絶叫しました。

「違います」

 司会者のツッコミが会場の隅々まで響き渡り、パンチ浜崎君は背中を丸めステージから降り、トボトボと自分の席に戻って行きました。誰も彼に声をかけませんでした。パンチ浜崎君は参加したことを心の底から後悔したでしょう。せめて、相方のノーパンチ松尾君が横にいたら……。アレ? 陣内君の話じゃなくなっている。完全にザ・パンチの話に変わってる! 

 ここまで読んで頂いた皆さん申し訳ございません。陣内君の話は改めて書かせてもらいます。とりあえず私が書きたかったことは、「陣内君、結婚&出産おめでとう! 今度こそ幸せになって!」ってことです。

東野幸治(ひがしの・こうじ)
1967年生まれ。兵庫県出身。東西問わずテレビを中心に活躍中。著書に『泥の家族』『この間。』がある。

「週刊新潮」2018年12月27日号 掲載

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