SSブログ

旅行なら楽天トラベル

クリスピー・クリーム・ドーナツ [グルメ]

12月16日の昼過ぎ、JR新宿駅南口にあるクリスピー・クリーム・ドーナツ「新宿サザンテラス店」(渋谷区)を訪れた。店内72席の大型店舗だが、平日の午後にもかかわらず、結構な客の入り

 ちょうど10年前の2006年12月、ロッテと流通業界に強いリヴァンプが組み、米ドーナツチェーンのクリスピー・クリーム・ドーナツを日本に導入した。1号店となったこの「新宿サザンテラス店」には連日長蛇の列ができ、注目を集めた

■契約を更新せずに退店

 輝かしい実績を誇る1号店――。だが、その入り口には「(2017年)1月3日の22:30をもって営業を終了する」というお知らせが、12月16日からひっそりと張り出されている。会社側は業績が不振だからではなく、不動産を所有するJR東日本との契約が10年で満期を迎えるため、契約を更新せずに退店をするのだという。

 取材に応じたクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンの若月貴子副社長は「上陸当初の”知名度をあげる”というミッションは達成した。10年間で培ったものを生かし、これからのクリスピー・クリームをどうしていくのが大切だ」と話す。

11月5日にクリスピー・クリーム、「大量閉店」の全真相で報じたように、同社は今、行列のできるドーナツ店から地元で長く愛されるブランドへの転換を進めている。その一貫で2016年春頃に一気に20店弱ほどを閉店した。 これまで社内的にも、一般人の持つイメージとしても、サザンテラス店の行列ができるドーナツ屋というイメージが強烈だった。同社は新宿や有楽町など、都心の一等地に大型店舗を出店。店内でドーナツを調理する様子を見せる、広域から集客する大型店と、セントラルキッチンから供給を受ける小型店の2種類を展開していた。

クリスピーの挽回策は?
 当初は大成功を収めた戦略だったが、日本のスイーツ市場は流行の移り変わりが早く、ブームはやがて下火になっていった。にもかかわらず、クリスピー日本法人は地方中核都市を含め、各地への出店を継続。以前ほど行列ができなくなっていたのに、店舗作りや接客は「いかに早く顧客をさばくか」「お客を待たせないか」という点に重点を置いてきた。

 こうした路線が行き詰まり、収益は低迷。ピーク時には全国で64店舗を展開していたが、大量閉店によって2016年3月期は純損失8.1億円を計上している。店舗数は、今年9月末で46店舗にまで減少した。

 この失敗をバネに、クリスピー日本法人は全面的な戦略転換に乗り出している。これまで店舗が大型にならざるを得なかったのは調理スペースの問題が大きい。ドーナツの製造に使う機械やフライヤーはすべて米本社が開発、設計したものを使う必要があった。

■次の10年をどう生き延びるのか? 

 今回、クリスピー日本法人は国内メーカーと組んで機械の小型化に成功。「製造スペースが従来比で7割減、初期投資費用も8割減にできる」(同社)という。店舗の内装も立地にあわせて、ビジネスパーソンや家族客が使いやすいようにデザインを刷新していく方針だ。

 新店となる「イオンタウン ユーカリが丘店」(千葉県佐倉市)では、家族客向けに落ち着きのあるインテリアを採用し、キッズスペースを作った。厨房にも新規開発した機器を導入し、コスト削減を図っている。改装した「ららぽーと甲子園店」(兵庫県西宮市)にも、新型の厨房機器を導入した。2017年4月以降、このような店舗網の見直しを本格化させる方針だ。

 若月副社長は「新宿サザンテラス店の閉店は寂しいかもしれないが、振り返っても過去は戻ってこない。(閉店は)行列ができるドーナツ屋から決別し、本当に日本に溶け込めるブランドになるために必要なことだ」と話す。

 クリスピーにとって新宿サザンテラス店は、日本での”成功の象徴”ともいえる店舗だった。あの熱狂が冷めた今、次の10年を生き延びることができるのか。それには、かつてマクドナルドやスターバックスコーヒーなど外資系の外食チェーンがたどってきたような、「ローカライズ化」をどこまで進められるかがカギとなる

共通テーマ:グルメ・料理

SEO対策テンプレート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。